先輩移住者の皆様から

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自分流のライフスタイルを見つけました。 その1



 今井さん  
 2002年5月、駐車場が広く取れる場所でパン屋を経営したくて、東京都から移住してきました。

 当初は、採算ベースに乗るのか心配もしましたが、たくさんのお客様に来店していただいております。

 おいしい焼きたてのパンを提供しようと商品開発に勤しむ毎日です。最近、食の安全性、信用性が問題になっていますが、パンを直接買っていただくため、お客様の顔を思い浮かべるととても胸が痛み、うそはつけません。

 実際に転入してみると、周囲には移住された方が多く、地域の習慣や決まりごとがわからない状況でした。地元の人と移住者のコミュニティが活発になって欲しいと思います。
 地域の習慣や情報を簡単に聞けたり、相談できたりすると助かりますね。

 東京にいた時は犬を飼ったことがなかったのですが、今ではのんびり景色を楽しみながら、近所を愛犬と散歩しています。愛犬との散歩が忙しい毎日の安らぎとなっていますし、休みの日に、海、山、田園を見に犬を連れて、ぶらぶらと二人でよく出かけるようになりました。

 仕事の関係で東京に行くことがありますが、遠くて大変という感覚はなく、苦には感じません。すっかり地元がいすみになったのか、都内の雑踏からいすみ市内へ帰ってくると安心感に包まれます。

 いつの日か、気軽に人が集まってもらえるようなカフェをオープンさせたいと思っています。パンの風味、コーヒーの香り、音楽、そして人とのふれあいを楽しんでもらえるカフェを営むことが夢です。地域の方々に育ててもらいながら、夢の実現のために今後も営業努力を続けていきたいと思います。

            




 土井さん
 千葉県内から平成14年6月に越してきました。
体調に変調をきたすほど神経を張り詰めて仕事をする毎日だったので、55歳になったら退職し、のんびり過ごそうと決めていたことと、孫のために“田舎”が欲しくて、移住を計画していました。
 はじめは信州を考えていましたが、冬の寒さや雪掻きの大変さを考え、気候の温暖な房総に候補を絞り、最終的には、山があり、海があり、川もあるこのいすみ市に決めました。

 こちらでは、私は、海釣りはもちろん、川ではエビや藻屑蟹、鯉を捕まえたり、タラの芽やワラビ、ゼンマイなどの山菜採りをしたり、野菜作りや木工細工を、妻はジュエルエッグづくりやガーデニング、押し花などを楽しんでいます。
 この風景や空気など、自然環境は貴重な財産ですから、「まちづくり」や「まち残し」のための材料はたくさんあると思いますね。
 地域の人たちは、親切で純な方が多いですね。シャイなところもあるかもしれませんが、とけ込む気持ちがあれば、スムーズに近所付き合いができると思います。
 『郷に入っては郷に従え』という言葉がありますが、そうした気持ちを持って暮らしていくことも大切だと思いますよ。
 また、私の家は夷隅川のほとりなので台風の時などは川が増水して、ちょっと怖いときもありますし、水が引いた後は、畑に竹などの大量の流木やゴミ等が残され、掃除がたいへんです。
 移住してくると避難先や避難経路、ガケ崩れや水に浸かりやすい場所等が分からないので、ハザードマップや地域をあげての避難訓練などがあるといいですね。


  

*土井さんの体験談は、読売オンライン「いいもんだ田舎暮らし」に掲載されました。
 http://www.yomiuri.co.jp/tabi/





 横山さん 
 いすみ市には平成19年2月に越してきました。
これまで東京と海外の往復で仕事に追われる忙しい毎日だったので、定年後はのんびりとした生活を送りたくて移住地候補を探していました。

 ここに住むきっかけは、夫婦で房総をドライブ中に、たまたまいすみ市に入った時、まるでヨーロッパのような豊かな自然がとても素晴らしく感じたことです。

 緑が際立っていて、看板の少ない景観に完全に一目惚れでした。
 もうひとついすみの良いところは、これだけの素晴らしい自然が残っているにもかかわらず都心に近いことです。
 都心に友人や知人が多いので、縁を切らずに関係を保てる距離がいいんです。
我が家からの風景を見せたくて、よく友人を招いたりしますが、皆この空間を絶賛しています。

 住み始めてまだ1年も経っていないので、スローライフを満喫するのはまだまだこれからですが、この平坦な地形を活かし、四季折々の素晴らしい景観を眺めながらサイクリングができるコースがあったら最高ですね。
 「のんびりとした生活を」と考えていたはずなのに、家の外壁の色を塗ったり、作業場を建てたり、最近では、家庭菜園で土いじりと野菜作りを楽しんでいます。
思いのほか忙しい田舎暮らしを満喫しています。

 この周辺でも、看板やのぼり旗が必要以上に増えてきて、素晴らしい景観を台無しにしているのが本当に残念なのですが、この地を選び、住んでいる今、この風土・景観・環境を現在まで残してくれた先人の方々へ感謝の気持ちを持っています。





 桜井さん 
 生まれは、海のない群馬県伊勢崎市です。上京後、20代で会社を始め毎日がむしゃらに働いていました。
 40代になってから第二の人生のために働く欧米の生き方への憧れが片時も頭を離れず、毎日海が見える場所で暮らしたいと思うようになりました。
 そして8年前に念願の田舎暮らしを手にいれました。
いすみに縁はなかったのですが、全国いろいろな場所を探して、やっと理想の場所を見つけました。すぐに手の届きそうなところにある青い海に絶句しました。一目惚れでした。


 移住してすぐに地域の漁業組合の青年部の仲間に入り、水揚げの手伝いなどをしています。
 初めて漁師の仕事を手伝って疲れましたが、ちっとも苦痛とは思いませんでしたね。
むしろとても充実感がありました。今では、友人と水田を借りて米を作ったりして、いすみのライフスタイルを満喫しています。
 毎年秋になると自分の作った米を知人へお裾分けして、たいへん喜ばれています。
また、こちらへ来てからあまり病気もしたことがないですね。
 新鮮な農産物や海産物を食べて、毎日かかさず海辺の散歩をしていることが、健康的な暮らしを維持する特効薬ですね。
 私はいすみに移住しましたが、都会と田舎の2地域居住も楽しいと思いますよ。
私の8年間の経験を、移住を考えている人のために役立てられればと思い、宿泊体験なども行っていますが、周辺の方と触れ合って、地域の情報を聞き出すことは大切だと思いますね。
 もっとも私の場合は、惚れ込んで移住したので、悪い面は感じられずすんなり溶け込めましたが・・・。




 本多さん 
 学習塾講師、マーケティング・リサーチャー、テレビのエキストラと三足のわらじを履いて、寝る時間も惜しんで働いていたせいか、いつも心のどこかに「のんびりとした暮らしがしたい」という気持ちや、自然に囲まれながら農作業や趣味を楽しむスローライフに対する憧れがあり、夫の退職を機に夫婦で平成15年にいすみへ移住してきました。


 理想にかなうものを自分たちの目でしっかりと見極めたいと、夫の退職の1年前から「人生の楽園」探しを始めました。
 北海道や那須、沖縄など魅力的な候補はたくさんありましたが、最終的には、温暖な気候や、新鮮な海の幸・山の幸に恵まれていること、都心に出るのに便利なことなど、とても住み易い印象があったので房総にこだわって物件を探し、1年以上をかけてやっとの思いで決まったのがこのいすみです。
 いまでは、絵画、書、陶芸を楽しみつつ、親切な近所の方に教わりながら野菜作りに精を出し、地元の新鮮な食材を使い手間暇かけて料理をしています。アジの「なめろう」を作ったり、庭で採れるフキを佃煮にしたり、薩摩芋や大根の切干しなど、今まで作ったことのない料理にも挑戦しています。
 一時間くらいかけてのんびりとイチゴジャムを作るときの幸せ感。
 「時間がゆっくりと流れていく」ってこういうことなんだと実感しています。

 平成18年には、私たちのいすみへの移住体験談をまとめた本を出版し、現在は、いすみの魅力を皆さんに知ってもらおうと地域新聞の編集も手伝っています。



*本多さんの体験談は、読売オンライン「いいもんだ田舎暮らし」に掲載されました。
 http://www.yomiuri.co.jp/tabi/





 高橋さん 
−旦那さん−
 実家が酪農を営んでいるので、幼い頃から『将来は酪農をする。』と決めていました。

 結婚を機にその夢を実現するため、いすみに移住してきました。
 美味しい牛乳を消費者の皆さんに届けようと片時も気が抜けない毎日です。また、品評会へ出場させるため、牛の体を常にきれいに保つよう努力しています。

 牛の糞尿を利用して堆肥や液肥を作っています。
 これを農家の方に米や野菜作りに活かしてもらっていますが、この肥料を使うと化学肥料を減らせるので、地元のいすみ米や長野県の農家で作る野菜が市場で高い評価を受けています。
 農家との連携は、お互いにメリットがあるので、今後とも、双方にとって大切な取組みになると思っています。

−奥さん−
 地域の方々の人柄が良く、すぐに打ち解けられたので、こちらに来て特に苦労したことはないですけれど、当初は、夜があまりに真っ暗でびっくりしました。とても寂しく感じました。
 都心から近いのに騙されたと思うほど、田舎だと思いましたね。でも、ここは子育てには最高の環境だと思います。
 いじめ問題などのニュースをみると、ここでは考えられないことのように感じます。
 子供が少ないこともあるのでしょうが、学校では、みんな和気あいあいと過ごしていますし、多くの自然と触れ合うことで感性豊かな子供に育つと思いますよ。
 高校生の息子が『今日、学校帰りに蛍が綺麗だったよ。』なんて、話題にするくらいですから・・・。

 高橋さんご夫妻は、およそ150頭の乳牛を飼育しながら、酪農体験など市の観光事業にも協力していただいています。
 お話を伺っていると、旦那さんの酪農にかける熱い情熱や牛に対する愛情がひしひしと伝わってきました。
 また、奥さんは、得意の英語を活かし国際交流ボランティアとして活躍しているなど地域の行事に積極的に参加しています。

 ご夫婦そろって、すっかり地元にとけ込んでいる様子を楽しくお話してくださいました。

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