先輩移住者の皆様から

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作ること・・・。
 


   渡邉さん
 

私たちは、房総で農のつながりのあるパン屋開業を実現するため、2007年6月、東京都世田谷区からいすみ市へ移住してきました。

―なじみ深い房総へ―

 夫は大学時代に3年間、千葉県南房総市(旧:三芳村)の生産者グループのところへ援農のため毎月通っている頃から、田舎で農業がしたいと思うようになりました。
 妻は勝浦市に祖父の別荘があり、子どもの頃からなれ親しんだ外房地域は好きでした。アメリカ開拓時代を題材にした「大草原の小さな家」が愛読書で、何でも自分たちで作る生活に憧れていました。
 いすみ市の開放的な田園風景が気に入っていたことと、候補地を探していた当時、いすみ市へ移住された方が情報発信していたことで安心感を得ました。

―苦労を乗り越えることを楽しみたい―

 いつかは房総に住みたいけれど、夫婦で田舎に暮らす手段がなく、手ぶらでは通用しないと考えていましたので、地域の農とのつながりをより深めるパン屋を目標に、それぞれ夫はパン職人の修行、妻はジャム加工業者で販売部門の勉強をしました。
 東京生活では、男性の活躍する力仕事が少なく、女性は家事分担などで不満に思うことも多いですが、こちらの古民家に住んでからは、大工仕事や庭仕事などは夫の仕事、家の掃除や食事の支度などは妻の仕事、というように男女の役割分担が自然にでき、お互いを尊重できるのがいいですね。

―抱いてきた、夫婦の夢―

 東京で生活しながらパン屋を開業するための物件を探していましたが、不動産業者から紹介していただく物件をすぐ見に行くこともできず、私たちが本気で移住し開業するのか、地元の方々にも信用が得られず難しいと感じました。
 そこで、思い切って東京での仕事を辞め、市内のアパートを借り、あてもないまま地域に飛び込みました。思うような古民家の賃貸物件が見つかるまで1〜2年かかることも覚悟のうえでしたが、縁に恵まれ3ヵ月後には現在の古民家に住むことができました。

 敷地内にあった納屋をコツコツと手作りのパン工房に改修して、2008年2月、結婚当初から抱いてきた夫婦の夢、「農のあるパン屋」を開業することができました。
 現在「フロム・アイ・プロジェクト」という市民団体を立ち上げ、地域が農でつながる環境づくりに取組んでいます。地元の農産物を、地元のパン屋やレストランなどの食品加工業者が使うというように、地元で地元のものが循環することで、豊かな地域を築いていくことが目標です。そのためには、しっかりとした“作るチカラ”と“売るチカラ”が必要です。
 地方で起業しようと頑張っている移住希望の方に、私たちの経験が少しでも役立てばと思っています。
    




 五十川(いかがわ)さん


―敬記(ゆきのり)さん―

 定年前、これからは農業をしたいと考えるようになり、3人の娘が独立したのを機に、東京都八王子市から移住してきました。

 仕事でよく来ていた千葉県で候補地を探していたところ、初めていすみ市を知りました。豊かな自然と里山に惹き込まれ、物件を探しに何度も足を運ぶようになりました。
 
 現在の住まいは、不動産業者に紹介された空き家物件でした。
 情報をもらって現地へ行くと、周辺の景観や雰囲気も気に入ったので、農地や山林などをまとめて購入しました。実際に住んでみると、気軽に声をかけてくれる近所の方、地元の盆踊りで私を紹介してくれた方、地域交流を推進している団体に誘ってくれた方、地域のみなさんが私たちを歓迎してくれているようでうれしく思っています。

 いすみ暮らしも1年が過ぎると生活環境にも慣れ、やりたいことに気持ちを向けられるようになり、米作りや野菜作りにチャレンジし、牛と鶏を飼育しながら自給自足の生活を始めています。

 地元の付き合いやルールなど地域での生活のことは、近所の方が親切にアドバイスしてくれるので助かっています。農業の話になると、それぞれのやり方があり、違った意見などに混乱することもありますが、地域のコミュニティがとても活発だと感じています。

 今では、「インターネットで調べて欲しい」と近所のお年寄りが訪ねてくれるようになりました。

80歳、90歳で元気な姿を見ると励みになりますし、田舎のお付き合いに安心感を覚えています。

       

―明子さん―

 私が農業をしようと決めたのは、農作物の自給率が低いといわれる日本で「今後、誰が食べ物を用意できるのか」と不安を感じ、「これからの暮らしは、自給自足と助け合い」と考えたからです。

 いろいろ探した候補地の中から、いすみ市へ移住する決め手となったのは、訪ねる度に地元の方々の人柄の良さに触れられたことです。生活していくうえで重要だと考えていました。


 今、私の楽しみは、チーズ作りを習っていることです。
 自給自足の暮らしは簡単なことではありませんが、二人で楽しんでいます。近い将来、農作業体験を通じて育てる楽しさや食べる喜びを味わってもらえる農家民宿にチャレンジしたいと思っています。

一人でも多くの若者が農業に関心を持ち、農地や山林などを守り継いでくれるよう願っています。



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